逃げないで下さい


逃げないで下さい。

わたしが20代の前半くらいだった頃、交通事故にあいました。
と言っても、たいした怪我はなかったです。緩やかな下り坂を下りきった所で信号待ちをしていると、後ろからドン!わたしはシートベルトはしていたものの、体が前のほうに押されて、驚いたのもあってか、ハンドルの下に両足を強打しました。
後、ドリンクホルダーに置いていた缶コーヒーがジャンプしました。わたしはコーヒーまみれ。

問題は、事故の相手方が逃げてしまった事でした。
年のころなら50代~60代くらいの男性が、一度車から降りては来たのですが、車を見て「たいしたことないでしょ?はい、これで」と、窓から一万円を投げ入れられて、そのまま去って行きました。
わたしは何が起こったのかわからず、しばしきょとんとしたまま動けませんでした。
でも、少し冷静さを取り戻してから、良く考えると、まず、去った男性は、わたしは無事かどうかは聞かなかったこと、わたしがコーヒーまみれなことに言及しなかったこと、それに、わたしは何も発言をしていない、なのに去ったんだ!ということに怒りを覚えました。これはもう、逃げたと同じじゃないか!

車を見ると、見た目は大きな破損はなく、少しへこんで塗装が剥げているだけ。だけど、一万円で直せるかどうかもわからない。
気が重いなぁと沈みつつも、会社に電話をして事情を説明し、警察署へ向かいました。
やはり、当て逃げということで処理されました。
その後、保険屋さんが入って、きちんと修理もしてもらいました。逃げた男性の代理人の人に一万円を返したところ、後日、立派なメロンが届きました。
メロンはいらないから、逃げないで下さいと言いたかったです。


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